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リハビリテーション(以下,リハビリ)医療と従来の医療との違いは,治療目的を生活に置いていることと,チーム医療を前提としていることにあります.それゆえに,リハビリ専門職(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)の教育は,チーム医療を方法論とした内容となっています.しかし,数多くの医療職の中で,われわれのような教育を受けた職種は非常に稀です.それゆえに,リハビリ専門職以外の方々とチーム医療について論議する際には,基本的な概念が異なっていることを知っておく必要があります.この数年の中で,厚生労働省にチーム医療推進会議が設けられたり,多くの職種によってチーム医療推進協議会が創設されました.その背景には多様な要因(表1)がありますが,その基本は消費者中心の概念の普及であったと思います.1970年代に代表される消費者運動の波が日本の医療界にも遅ればせながら影響を与えています.そのことは,医療界における訴訟が飛躍的に増えていることから確認されます.また,ヒポクラテスの考え方ですら,最近ではパターナリズム的であるという批判の声が上がっています.これらの社会的背景や動向を十分に理解することからチーム医療論議を行わなければ,あまりに情緒的で理念的な方向へ行く危険性があります.
また,日本では法律によって医療専門職の身分や権限,そして学歴までが決められています.「理学療法士及び作業療法士法」の国際比較を行うために,多くの国の理学療法士会に情報の提供を求めましたが,驚いたことに日本のように法律でがんじがらめに縛られている国は皆無に近い状態でした.医師と薬剤師は6年間,管理栄養士は4年間,リハビリ専門職や診療放射線技師や臨床検査技師は3年間と法律によって規定されています.チーム医療を展開するにあたって,チーム内に学歴による身分格差が歴然とあるということは,チーム運営上の阻害因子になります.
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