とびら
職種が違えば
伊藤 義広
1
1広島大学病院
pp.1029
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101537
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いわゆる国立の大学病院も昨今は随分と変わってきた.6年前に全国の国立大学は法人化され,大学病院の財務会計は国から切り離されて自主自立の運営になった.まだ国からの財政支援を受けている大学病院も一部あるが,どこも経営的な視点から業務の改善や見直しが進められている.今のところは“ムダ”の定義が明文化されていないので,何でも削減というわけではないが,リハビリテーション部門に限らず病院の各科,各部門はその収支を執行部へ毎月詳細に報告するようになった.民間病院や私立大学からは呆れられるかもしれないが,長く国立大学病院に勤める身としては,10年,20年前と比べると隔世の感がある.
また病院の財務会計だけでなく,その組織体制も徐々に変革している.とくにコメディカルの組織は人事の流動化や効率化を目的に大きく変化した.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士に加えて放射線技師,臨床検査技師,臨床工学技士,歯科衛生士,歯科技工士,視能訓練士という9つのコメディカルを統合した「診療支援部」という組織ができた.7,8年前には,リハビリテーション部門と放射線や検査部門が一緒になることなど想像もつかなかった.日常業務は当然別であるが,各部門,各技師(士)1人あたりの収支や業務量の評価が求められ,さらにコスト削減や新しい業務の提案など病院運営にコメディカルが積極的に参画するようになった.職種が違えば立場も異なり,総論は賛成でも各論になると意見の一致しないこともある.それでも効率的な病院運営という大方針の下に,コメディカル各職種を混合した形で様々な会議が開かれるようになった.
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