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編集後記
内山 靖
pp.178
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101122
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区切りというものは,人間の気持ちや行動を変容する意味で大きなエネルギーをもっている.クリスマス,新年,卒業,様々な記念日や毎週末など枚挙に暇がない.人間は,ある時点を境に急に変わるものではないと思う反面,区切りをつけて新たに誓いを立て歩んでいくことを求めている.大人びた小学6年生がある日を境に初々しい中学生になり,すべてを知った大学4年生が不安と希望に満ちた新入職員となる.脱皮後の不安定性とその後の新たな成長の摂理は,人間にも十分に当てはまるようである.その意味から,理学療法は,対象者の行動変容のきっかけになるためにどうしたらよいのだろうか,また,変容した行動を維持することに貢献しているのだろうか.
人間の営みや行動には,狭義の自然科学では十分に解明されていない部分や割り切れないものがある.他方,10数年前のわずかな痕跡は,その遺伝子を通して明確に個人を特定できることも事実である.ヒトの痛みとは,感覚であるのか情動であるのか,長い論争の後に,現在の痛みの病態生理はこの双方を含めることで科学として対象者を捉える立場を明確にした.
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