理学療法の現場から
困難事例の切り口として―チームの一員としてのPT活動
鈴木 育代
1
1東京都戸豊島区中央保健福祉センター
pp.127
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100778
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「リハビリに熱心なんだけど,ちょっとやりすぎでは…」という相談が,民間のケアマネジャーから保健福祉センター(以下,センター)に入った.介護を受けている母親は80歳代,脳血管障害後遺症による片麻痺,要介護Ⅳである.介護をしている娘は,医療機関で「リハビリに熱心な娘」として有名だったようだが,母親が自宅に帰ってからは「歩かせたい,寝たきりにさせたくない」という一心から猛烈にリハビリをさせていたようだ.娘は他人を自宅に入れたくないようで,「介護疲れがある」と言いながらも,ホームヘルパーを利用せず,自分の外交の仕事にも母親を一緒に連れて行っていた.
熱心すぎる介護の裏に「虐待」が見え隠れしている場合,このような介護者は「第三者の介入」を嫌うことが往々にしてある.しかし「リハビリの専門家に確認してもらいましょう」という援助者の言葉に,介護者の気持ちがほぐれ,理学療法士(以下,PT)の訪問を糸口に,保健師や看護師などが介入するきっかけができることもある.
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