文献抄録
前十字靱帯損傷患者の階段昇り動作時の膝関節モーメント
岡田 誠
1
1藤田保健衛生大学衛生学部リハビリテーション学科
pp.886
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100584
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本研究の目的は,前十字靱帯損傷患者の階段昇り動作時の歩行順応性を調べることである.対象は6名の健常男性と9名の片側前十字靱帯損傷患者で,左右下肢の比較を行うために両下肢において検討を行った.各々の被験者は,高さ155mm,奥行き400mm,幅600mmの階段を各々のペースで昇るように指示された.階段昇り動作時の分析方法は,5台の動作分析カメラシステムと床反力計を使用して膝関節モーメントを算出した.各被験者には動作に対して慣れるため,裸足で階段昇り動作を数回行った後に計測を行った.
階段昇り動作時の速度,立脚相,両側支持期などの特徴は,健常群と疾患群では差は認められなかった.膝関節の関節角度変位にも両群,左右とも差は認められなかった.膝関節モーメントでは,屈曲モーメントは全被験者において動作の16%時点(反対側の足が離床する時)で最高値となった.また,伸展モーメントは約50%の時点(立脚期終期)で最高値となった.屈曲モーメントが最高値となったときの膝関節角度は,各群とも約40度であった.屈曲モーメントの左右差は,健常群と疾患群の健側では差は認められなかったものの,疾患群の患側は50%の減少を認めた(P<0.05).健常群の左右比は,1.08%であったのに対し,疾患群の健患側比は0.34%であった.床反力波形の結果は,疾患群の患側のほうが垂直分力,前後分力ともにピーク値が低値になった.
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