豆知識
抗体の保存
pp.892
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905926
- 有料閲覧
- 文献概要
酵素抗体法に用いられる抗体は,主にIgGと言われる.酵素抗体法に用いられるIgG(抗体)のほとんどが,ウサギより得たポリクローナル抗体(あるいは抗血清とも言う)とマウスの融合細胞(ハイブリドーマ)から得たモノクロナール抗体との2種である.これらのポリクロナール抗体やモノクロナール抗体は,溶液の中で存在している状態では安定であるのに対し,凍結や融解を繰り返すと失活していく.しかし,稀少な抗体や高価な抗体でやむを得ず抗体を長期間保存する場合には,抗体およびキットに添付されている文書,Specification sheetやInstructionsに記載されている保存方法で保存することが望ましく,希釈せず原液のまま分注し凍結保存することが望ましい.凍結保存の温度としては,-20℃もしくは-80℃に大別される.
この場合,抗体により至適希釈倍率を考慮し,解凍・融解の操作が最小限で済むように工夫する必要がある.現在市販されている精製抗体の容量は1mlないし0.5mlである.例えば1mlの精製抗体が100倍希釈で使用できる抗体の場合,10μl入りと100μl入りとを作製するが,10μlをできるだけ多く作製することが望ましい.また,市販されている抗体の多くには,防腐剤としてアジ化ナトリウムが添加されているが,その記載がない場合は,0.1%のアジ化ナトリウムを添加後保存することが肝要である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.