臨床検査に必要な統計処理法・8
個別データの管理と統計手法—検査過誤防止への統計学的アプローチ
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.1169-1172
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905589
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はじめに
従来の精度管理(quality control;QC)は測定法の誤差管理が主対象であった.しかし,今日では測定の前後段階を含めた信頼性の確保,すなわち精度保証(quality assurance;QA)の重要性が強調されている.なかでも検体の取り違いや試料変性などの検査過誤は,検査成績をまったく別の値に変えてしまう危険性がある.本来は検査過誤が起きないような運用形態の構築が重要であるが,膨大な患者検体や検査情報が錯綜する臨床検査の現場においては,不可避的な検査過誤が少なからず発生していることも事実である.そこで,検査成績が臨床側に提出される前段階に,検査過誤を発見し未然に防止するための策も必要となる.それらは“個別データの管理”と呼ばれ,測定誤差を対象とする狭義の精度管理とは区別される.
以下では,検査過誤防止のために利用される統計学的手法とその考えかたについて取り上げる.
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