増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 9 臓器移植と臨床検査
1.HLAタイピング
2)DNAタイピング
安藤 麻子
1
,
成瀬 妙子
1
1東海大学医学部分子生命科学教室
pp.964-968
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905532
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検査の目的
ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex;MHC)であるHLA(human leukocyte antigen)抗原は,自己と非白己の識別因子として働き,高度な遺伝的多型性を示す細胞膜糖蛋白質である.このHLA抗原の検査は,移植におけるドナーとレシピエントの選択に重要であるほか,法医学における個人識別や親子鑑定,疾患と特定のHLAタイプとの相関を用いた各種の疾患の診断などに広く利用されている.HLA検査法としては,前項の「血清学的検査」で述べられた抗血清を用いた血清学的方法やリンパ球混合培養反応を利用した細胞学的方法が従来行われてきたが,近年の遺伝子解析技術の進展によって,HLA遺伝子の塩基配列が明らかになり,現在,再現性が高く,簡便なPCR(Polymerase chain reaction)を用いたDNAタイピングが多くの施設で普及している.
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