増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 9 臓器移植と臨床検査
1.HLAタイピング
1)血清学的検査
荒木 延夫
1
,
秋田 真哉
1
1兵庫県赤十字血液センター検査二課
pp.960-963
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905531
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はじめに
HLA(human leukocyte antigen)抗原はヒト第6染色体短腕(6p21.3)上の約4,000kb(400万塩基対)の距離にわたって存在する主要組織適合複合体(major histocompatibility complex;MHC)遺伝子領域に支配される細胞膜抗原である.HLA抗原は表1,2)に示すように高度の多型性を有し,2つのクラスに大きく分類される.クラスI抗原(HLA-A,B,C)は,ほとんどすべての有核細胞に発現し,クラスII抗原(HLA-DR,DQ,DP)はBリンパ球,活性化Tリンパ球,単球/マクロファージなどの限られた細胞に発現している.両クラスともにHLA抗原は分子内に抗原ペプチドを挟み込み,クラスI抗原はキラーT細胞の標的分子となり,クラスII抗原はヘルパーT細胞に抗原提示をする.それゆえに,臓器移植においてはドナーとレシピエント間のHLA適合性が求められ,組織適合性検査としてのHLAタイピング検査が実施されている.HLAタイピング法は,生きたリンパ球を用いる血清学的,細胞学的検査法(HLA-D,DP抗原を検出)と,PCR(polymerase chain reaction)法を用いたDNAレベルでのアリルの検査法があるが,ここでは血清学的検査法について述べる.
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