トピックス
腎移植とHLA-DNAタイピング
橋本 光男
1
,
市川 靖二
2
1兵庫県立西宮病院腎移植センター
2兵庫県立西宮病院泌尿器科
pp.521-522
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902427
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■HLA適合度と腎移植成績
わが国の腎移植は,1964年から1991年までの27年間に8,384例の移植が施行され,そのうち,2,230例が死体腎移植で全体の27%弱である1).特に死体腎移植は,善意の死体腎提供に報いるためにも拒絶反応ができるだけ少なく移植予後の良好な受者を選択しなければならない.HLA適合検査(HLAタイピング)はこの受者選択の最も重要な基準の1つである.
1980年代に入って,腎移植受者と提供者の間でHLAクラスⅠ抗原が適合しているよりもクラスⅡ抗原であるDR抗原を合わせるほうが重要であり移植成績が良いことが報告された2).われわれの施設でも抗原抗体反応を利用した血清学的方法によるHLAタイピングを行い,DR抗原適合度で受者を選択してきた.しかし,DR抗原適合症例といえども必ずしも良好な移植予後を示すとは限らず,その臨床的意義についても疑問視されているのが現状である.
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