増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 2 血球計数検査
1.血球計数検査
5)自動測定法の実際 b)白血球系
丹羽 欣正
1
1奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部
pp.694-698
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905426
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はじめに
白血球系の自動計測は白血球数(以下WBC)測定において古くより研究開発が行われてきた.WBC測定での機器開発の歴史は,赤血球の溶血操作に始まるのであるが,現在においてもなお続いている永遠の課題であろう.さらに近年,自動血球計数器の多項目化,多機能化がなされ,多項目自動血球分析装置と呼称されるに至っており,白血球系分析項目も多岐にわたって解析可能となってきている.
このように,当初WBCとしてしか計測ができなかった測定装置も,溶血技術の進歩により,白血球を3種類(リンパ球,好中球,その他)に分類することが可能となった.さらに現在では,フローサイトメトリー技術の導入に伴い,5分類(リンパ球,好中球,単球,好酸球,好塩基球)可能な機種が多数登場してきた.しかし,ここでいう白血球5分類とは正常かつ成熟白血球のみを指し,骨髄芽球など幼若白血球および反応性異型リンパ球の分析までには至っておらず,これらの異常細胞をいかに正確に検出できるかの精度向上に全力が注がれている.その一方で,有核赤血球の定量化が一部の機種で可能となったり,細胞性免疫学的手法の応用による細胞分析への試みもなされるなど,日進月歩の開発状態は今後も持続するであろう.
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