増刊号 緊急検査実践マニュアル
各論
2.血液検査
1)血球計数検査 b)白血球数 臨床編
宮地 勇人
1
1東海大学医学部臨床病理学教室
pp.771-774
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903854
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検査の意義と目的
白血球増加は,白血球の細胞分画のいずれかが増加,または異常細胞が増加することによる.白血球増加は,白血球分画のいずれかが増加する病態・疾患や異常増殖する造血器腫瘍の診断のきっかけとなり,治療反応の指標となる.好中球の増加による白血球増加は,細菌感染,抗原抗体複合物沈着,熱や化学物質など物理的刺激による組織傷害または炎症の有無を知る指標となる.ただし,敗血症など重篤な感染症では,好中球は消費され低下するため,白血球数は必ずしも炎症の程度を反映しない.
白血球,特に好中球は細菌感染の防御機構として極めて重要であり,白血球数は抗癌剤治療,放射線治療,臓器移植の際の細菌感染に対する易感染性の指標となり,各種治療の治療効果または副作用としての白血球数低下のモニタリングや,薬剤による無顆粒球症のスクリーニングに利用される.
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