増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第III章 細胞診
4.細胞診断学各論
4)泌尿器
平田 哲士
1
1千葉県がんセンター臨床病理部
pp.249-252
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903512
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はじめに
尿(自然尿)は尿路(腎・腎盂・尿管・膀胱・尿道)の病変を広範囲に反映しうる検体であり,被検者に負担をかけずに反復検査できるので,血尿などの症状がみられる場合のスクリーニング検査に広く用いられている.また,X線撮影・CT・MRI・超音波・核医学などの画像や,膀胱鏡などで確認された腫瘍の質的診断や術後の経過観察にも用いられる.上部尿路の悪性腫瘍細胞の出現頻度は比較的低く,尿路で最も多い膀胱の低異型度乳頭状移行上皮癌の腫瘍細胞が剥離してくる頻度も低いので,尿路悪性腫瘍における尿細胞診陽性率は決して高くはない.細胞診の陽性率や質的判定を高めるために,集細胞法(固定法)と染色法を選択し,臨床的に腫瘍の疑われる場合には膀胱洗浄液などの提出を依頼し,細胞像を把握していくことが必要である.
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