病理検査こぼれ話
病理学での電子レンジの応用
滝本 雅文
1
1昭和大学医学部第2病理
pp.205
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903501
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現在,各家庭では料理や調理のための電子レンジはかなり普及していますが,病理分野でも電子レンジを用い,マイクロウエーブ照射による実験・応用が広く行われるようになっています.温度設定や照射時間の設定などが可能な電子レンジであれば,操作方法は簡単で安定して行えます.
病理分野では,組織の固定や特殊染色また免疫染色などで特に良好な結果が得られています.マイクロウエーブでの固定は,迅速で固定状態もよく,抗原性の保持についても良好とされ,至急の検体のときには特に有効で,また電顕の固定にも応用されています.特殊染色では,例えばグリメリウス染色やボディアン染色などのように染色時間の長いものでも数十分,数時間で染色が終了し,病理業務の効率化が図られます.また,免疫染色では抗原賦活法として電子レンジを用いた報告が多数なされています.特に核内に局在する抗原の検出に際しては,マイクロウエーブによる賦活化は必須と考えられており,賦活化溶液との適切な組み合わせで良好な結果が得られています.マイクロウエーブによる賦活化では加熱による効果が最も重要と考えられており,加熱温度や加熱時間などの影響のほか,賦活化溶液の種類,その濃度,溶液のpHなども重要な因子とされています.
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