増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第I章 病理学総論
5.消化器
西上 隆之
1
,
植松 邦夫
1
1兵庫医科大学第2病理学教室
pp.43-51
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903450
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口腔
1.炎症性疾患
1)ベーチェット病
ベーチェット病(Behcet's disease)は,①口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,②結節性紅斑様皮疹,皮下の血栓性静脈炎,皮膚の被刺激性亢進,毛嚢様皮疹などの皮膚症状,③虹彩毛様体炎,網膜ぶどう膜炎などの眼症状および,④外陰部潰瘍を4主症状とし,その他回盲部潰瘍,副睾丸炎,血管系症状,精神神経症状,関節炎症状などがみられる原因不明の膠原病近縁の特異な全身性炎症性疾患である.①から④までの主症状が出現するのを完全型という.口腔粘膜の再発性アフタはほぼ必発(98.3%)の症状である.病因として遺伝的要因,特にHLA-B51に連鎖した素因の役割が重視される1).外的要因としてはウイルスや細菌,特に口腔内常在菌で新型レンサ球菌などの感染,特定の化学物質による汚染など諸説があるが,現在のところはっきりしていない2).
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