技術講座 生化学
PTHとPTHrPの測定
佐藤 幹二
1
1東京女子医科大学内分泌疾患総合医療センター内科
pp.623-629
発行日 1997年7月1日
Published Date 1997/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903175
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新しい知見
原発性副甲状腺機能亢進症(PHP)の診断には,血中のカルシウムと生物活性のあるintact PTHを測定すれば十分である.しかし,intact PTHは極めて微量にしか血中に存在しておらず,数年前までは正確に測定できなかった.したがって,やむを得ずpg/mlのオーダーで存在する半減期の長いC-末端部のフラグメントを測定していたものである.特に慢性腎不全患者ではC-末端部のPTHフラグメントは著増しており,透析患者の副甲状腺機能を容易に把握できる.しかし,腎透析中の患者の骨代謝を詳細に検討してみると,透析患者のintact PTH濃度は正常範囲(20〜65pg/ml)よりも2〜4倍ほど高値(150〜250pg/ml)が望ましいことが判明している.したがって,最近では透析医の間でもintact PTHが好んで測定されるようになってきている.
一方,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の診断は,血中のカルシウム,intact PTH,それにPTHrPを測定すれば大概の場合は診断できる.しかし,悪性腫瘍細胞はPTHrP以外の骨吸収促進因子を産生して高カルシウム血症を惹起することもあるので,病歴や他の臨床検査データも考慮して,慎重に鑑別診断することが重要である.
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