今月の表紙
幹細胞移植
巽 典之
1
,
樋口 智子
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学
pp.206
発行日 1997年3月1日
Published Date 1997/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903004
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血液細胞多元説から一元説,そして“幻の血液幹細胞”と称された幹細胞が最近そのベールを剥がし始め,臨床的に末梢血から幹細胞を分離し,癌化学療法患者に戻す骨髄幹細胞移植(PBSCT)が盛んになってきた.そして,5〜10年先には幹細胞を用いた同種幹細胞移植が癌治療の主流を占めるとの予測がされている.
この幹細胞移植は,まず細胞分離装置を用いて単核球分画を遠心分離し,その分画中の総細胞数およびその中に含まれるCD34陽性HLA-DRlow細胞数を幹細胞として算定する.さらに,造血コロニーアッセイにより分画細胞を培養,10〜14日後ごろに形成されてくるCFU-MixあるいはCFU-GM相当のコロニー数を算定する.細胞分離装置で得た単核球分画は多種の細胞が混在し(図a),幹細胞は1/20以下しか幹細胞を有しないので,磁気ビーズ法で幹細胞を分離し(図b),移植効率を高める方法がとられることもある.分離細胞を培養することで顆粒球系や巨核球への分化(図c)もコロニー内に観察されるようになる.
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