増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅵ.感染症とその検査法
27.EBウイルス感染症
菊田 英明
1
1北海道大学医学部小児科
pp.223-226
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902782
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はじめに
エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus;EBV)は,ヒトに普遍的なウイルスで,日本では2〜3歳までに80〜90%が感染を受ける.その初感染の大多数は不顕性感染であり,ときに伝染性単核症(infectious mononucleosis;IM)を発症する.EBVの感染はEBVレセプター(CR2,CD21)を介して起こるため,EBV感染細胞はBリンパ球と上皮細胞であることが通説であった.しかし近年Tリンパ球にEBVが感染している症例が多数報告され,EBVとTリンパ球の関連が注目されてきている.
EBVとの関連が示唆されているIM以外の疾患としては,バーキットリンパ腫(Burkitt's lymphoma;BL),鼻咽頭癌(nasopharyngeal carcinoma;NPC),胃癌,慢性活動性EBV感染症(chronic active EBV infection;CEBV),ウイルス関連血球貧食症候群(virus-associated hemophagocytic syndrome;VAHS),ホジキン病(Hodgkin's disease;HD),免疫不全症(先天性,後天性)患者でみられるEBVによるリンパ球増殖疾患の日和見発症などがある.
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