今月の表紙
白血球分類とコンピュータの有効利用
巽 典之
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学
pp.211
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902639
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これまで2回にわたり細胞の動きをとらえた写真を示してきた.第1回目は写真をスキャナーで読み込みコンピュータ上で編集,第2回目はいったん取り込んだ写真にコンピュータで色付けし編集と,研究室の研究員がコンピュータと格闘した結果である.情報化社会といわれる今日,こういった最新技術を最大限利用できるか否かが勝負の決めどころとなる.血液検査においては全自動型血球計数機を用いることで全血算(CBC)と白血球分類が可能となった.ここでの泣き所は異常白血球については分類性能がベテラン技師の眼力に劣ることである.血球分類を専門とする技師のいない一般検査室においては,これまではこの欠点を補うには異常標本そのものをベテラン技師に送るか,異常細胞写真を送るしか手だてがなかった.
さて,症例は,87歳女性で4日間40℃の熱が続き救急外来に受診,白血球数 26.8×109/l,Hgb 13.2g/dl,Hct 40.1%,血小板数 475,000/μlであり,血清K値 5.6mEq/l,BUN 51mgdlと示された.患者は敗血症の疑いと中等度脱水で治療が行われ,後刻細菌培養でグラム陰性桿菌陽性,そしてEscherichia coliによる敗血症と確定診断を下された症例であり,初診時血液像のコンピュータ記録が図示されている.
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