検査データを考える
細菌検査
松本 哲哉
1
1東邦大学医学部微生物学教室
pp.213-216
発行日 1995年3月1日
Published Date 1995/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902269
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はじめに
抗菌薬の発達によっていったんは克服されたかに思われた感染症も,新たな病原体の出現や日和見感染など形を変えて現在でも大きな問題を抱えている.さらに臨床における細菌検査も,従来までのように菌が検出されれば診断がついた時代から,検出された菌の病原性などを考慮して真の起炎菌を決定すべき時代となってきた.
細菌検査法の進歩は多くの迅速診断を可能にし,また一部では検査の自動化や簡略化も図られるようになった.しかし現在でも細菌検査は他の臨床検査に比べると,技師各人の判断や技量が最終的な結果に大きく影響する分野であるといってよい.また細菌検査は検査を進めていくうえで臨床からの情報が非常に重要な意味を持つ場合が多い.そこで本稿では,通常と異なる細菌検査データが出た場合,臨床的観点を含めてどのように判断すべきかについて,臨床例を参考にして述べることとする.
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