生体のメカニズム 体液調節機構・6
カリウム代謝調節機構
鈴木 誠
1
1自治医科大学薬理学
pp.487-489
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902415
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カリウムのバランス
カリウムは生体内で最も多い陽イオンである.50mEq/kg,約3,500mEq存在する.その98〜99%は細胞内にあり,濃度は125mEq/l,1〜2%が細胞外で,われわれが測定している濃度3.5〜45mEq/lに当たる.この細胞外のカリウムの濃度は,厳密に設定されており,それは,細胞内と細胞外の濃度差を作っているNa/KATPaseによるのである.
細胞外のカリウム濃度を維持する目的は,筋肉や神経のような興奮性膜の維持である.細胞内外のカリウム濃度差によって,静止膜電位が維持されている.高カリウムとなると静止膜電位は脱分極に傾き,興奮性が増し,やがては心の不整脈を起こして死に至る.また低カリウムになると興奮性が低下し,麻痺が起こり,やはり不整脈を起こして死に至るのである.この病態に関しては,別章を参考にされたい.
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