話題
CTの造影剤
小久保 宇
1
1虎の門病院放射線診断学科
pp.181
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902349
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X線CTは通常のX線写真に比べてコントラスト分解能が極めて良く,X線撮影では不可能であった軟部組織相互間のX線吸収度の違いを描出することができるという特長がある.それでも目的とする組織と周囲組織との間のコントラストをより強調して,診断を助けるべく造影剤が用いられる.造影剤には投与された組織の吸収度をより高くしてコントラストをつける陽性造影剤と,逆にX線吸収度を周囲より下げることによってコントラストをつける陰性造影剤とがある.
最もしばしば用いられるものは水溶性有機ヨード化合物である.陽性造影剤であり,単に造影剤というと,これを指していることが多い.排泄性尿路造影や血管造影に使用されるのと同じものである.最近では低浸透圧の非イオン性造影剤が広く用いられており,悪心,嘔吐,熱感などの副作用が減少した.静脈内に投与された造影剤は,肺循環を経由した後に大動脈内に入り,血液の流れとともに全身に分布する.血液・脳関門があって造影剤の移行の妨げられる中枢神経系を除くと,毛細血管に達した造影剤は速やかに血管外の間質腔に移行し,血管内の濃度と平衡に達する.造影剤は細胞内には入らない.いったん平衡に達した後は,血管内の造影剤が腎から排泄されるに伴って,間質腔から血管内に緩やかに移行する.
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