トピックス
HCVの性的感染および母子間感染
黒木 哲夫
1
,
西口 修平
2
1大阪市立大学医学部肝炎センター
2大阪市立大学医学部第3内科
pp.1019-1020
発行日 1994年11月1日
Published Date 1994/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902177
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はじめに
C型肝炎ウイルス(HCV)感染の最大の特徴は「HCVは血中量が極めて少なく感染しにくいが,感染した場合には成人の初感染であってもキャリア化しやすい」ことである.つまり,初感染のB型急性肝炎は治癒しやすいが,C型急性肝炎はキャリア化して慢性肝炎,肝硬変,肝癌の経過をたどる可能性があり注意を要する.
HCV感染経路の解明はC型肝炎の予防に直結する疫学的重要課題であるが,いまだに不明な部分が多い.感染経路については輸血による感染が確認されているが,C型慢性肝炎患者における輸血既往は約30%程度の頻度にすぎず,残り70%は輸血以外の感染経路である.本邦におけるHCV感染者は120〜180万人と予測されているが,輸血以外の経路によるHCV感染が84〜126万人にも達することになる.特に,輸血血液のHCVスクリーニングにより現在は輸血による感染は激減しており,今後は輸血以外のHCV感染が中心となる.
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