増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅶ.凝固
4.TAT,F1+2,FPA,Bβ15-42
緇莊 和子
1
,
藤巻 道男
2
1東京医科大学臨床病理学教室
2東京医科大学
pp.243-244
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901956
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トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(TAT),プロトロンビンフラグメントF1+2(F1+2),フィブリノペプチドA(FPA)は,いずれも凝固系分子マーカーとして現在利用されている.プロトロンビンは,凝固系の活性化により生じたXa,Va,Ca2+,リン脂質複合体により,トロンビンへと転換される際に,分子内のN末端よりF1+2を遊離する(図).したがってF1+2はトロンビンの生成能を表すと考えられる.生成されたトロンビンは,主に生理的に血中に存在するアンチトロンビンⅢ(AT Ⅲ)によって活性が阻害されて,両者は複合体(TAT)を形成する.したがってTATもトロンビンの生成状態を示すものと考えられる.トロンビンは,フィブリノゲンをフィブリンに転換するが,このときフィブリノゲンのAα鎖N末端からはFPAが,Bβ鎖からはフィブリノペプチドB(FPB)が遊離する.したがってFPAはフィブリノゲンの活性化状態を示すものと考えられる.
一方,線溶系の活性化で生じたプラスミンにより,フィブリンが溶解されると,フィブリンのβ鎖N末端からはフィブリノペプチドBβ15-42(Bβ15-42)が遊離する.したがってこのペプチドはフィブリンの溶解状態を示す線溶系分子マーカーと考えられる.
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