増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅴ.自己免疫・アレルギー
1.自己免疫
(1)リウマチ因子
島岡 康則
1
1大阪大学医学部整形外科学
pp.199-201
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901940
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■リウマチ因子とは
生体内では外界からの異物,例えば病原菌やウイルスの侵入を防ぐためのさまざまな防御機構が働く.その代表的なものは免疫機能で,この1つに抗体がある.抗体は組織液,血液中に広く分布し,外界からの異物(抗原となる)の侵入があると,これを認識し結合する(抗原抗体結合)ことにより,この異物を攻撃し取り除く手助けをする.通常の生体内には,自分自身の組織や細胞と結合するような抗体は存在しないが,自己免疫疾患と呼ばれる病気の患者では,自己の組織に結合する抗体が自分自身の体内に存在する.リウマチ因子も,このような抗体の1つで,“自己のIgGに結合する自己抗体”である.抗体の基本的な構造は図1-Aのように示される.外来からの異物を認識する部位は図1-AのFabと呼ばれる部分で,ここは1つの鍵をあけるキーがただ1種類であるのと同じく,1つの抗原に対してただ1種類のFabが対応する.したがって,外界のさまざまな異物に対して即座に対応できるように,Fabは生体内に数百万種類もの型があらかじめ用意されている.これに対して図1-AにFcで示されている抗体の柄の部分は,大きくは5種類の変化しかなく,その構造や働きにより,IgA型,IgG型,IgM型,IgD型,IgE型に分けられている.
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