増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
自己末梢血幹細胞移植
原田 実根
1
1岡山大学医学部第2内科
pp.329-334
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903172
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はじめに
すべての成熟血球に分化しうる造血幹細胞は,造血臓器である骨髄だけでなく,末梢血中にもごく少数ながら循環していることが古くから知られている.さらに最近では臍帯血中にも存在することが明らかにされ,造血幹細胞移植は幹細胞の採取源,ドナーの違いによって表1のように分類される.
自己末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation;PBSCT)は,化学療法後の造血回復期や造血因子投与後に骨髄から末梢血中へ動員され,一過性ながら著明に増加するPBSCを連続血球分離装置で大量に採取し,これを骨髄破壊的な治療後の血液学的再構築に自家移植として利用するもので,同種骨髄移植(allogeneic bone marrow transplantation;allo-BMT),自家骨髄移植(auto-BMT)に次ぐ第3の造血幹細胞移植として急速に普及しつつある1).
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