検査ファイル
項目●パルスエコー法
石出 信正
1
1東北大学医学部第1内科
pp.772-773
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900788
- 有料閲覧
- 文献概要
超音波を用いた検査法は非侵襲的で,かつ得られる情報が豊富なことから,日常診療に欠かせない手段となっている.その中でパルスエコー法は最も一般的に行われている方法である.この方法では超音波(数メガヘルツ)をごく短時間,例えば百万分の数秒だけ,すなわちパルス状に生体に入射し,反射された音(エコー)が帰ってくるまでの時間を測定し,反射を起こす物体の存在と距離を計算する.この操作は高速度(例えば1秒間に数千回)で繰り返すことが可能なので,超音波振動子(プローブ)から物体までの距離の変化を時間分解能よく測定できる.反射の強さを輝度の強さとして示し,Y軸には距離,X軸には時間をとって表示するのがMモード表示である.
超音波ビームを入射する位置あるいは入射方向を変えることにより,反射を起こす物体がどこにあるかを知ることができる.以前,単一方向にしかビームを出せない振動子を用いていた時代には,この操作を検査者が用手的に行っていた(例えばMモードスキャン法).その後,高速度で振動子を動かすメカニカルスキャン法が開発され,生体内組織の断層像をほぼリアルタイムで表示するBモード法が可能になった.現在では電子式にビームを制御する電子スキャン方式が主流になっている.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.