検査ファイル
用語●免疫グロブリンのイディオタイプ
戸川 敦
1
1国立病院医療センター内科
pp.248-249
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900554
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[1]概念
イディオタイプ(idiotype)とは,ある免疫グロブリン(immunoglobulin;Ig)の,ほかのIgと共通しない固有の抗原性ないし抗原決定基群をいう.イディオタイプはギリシア語のidios(=individuals)に由来し,Oudin1)により“idiotypic determinant”,Kunkel2)により“individually specific antigenic determinant”と呼ばれたものと同じものである.
Igは図1に示すように2本のheavy chain(H鎖)と2本のlight chain(L鎖)から成る.H鎖に5種類あってγ鎖,a-,μ-,δ-,ε-と呼ばれ,L鎖に2種類あってκ鎖,λ鎖と呼ばれる.H鎖,L鎖を問わず各鎖においてアミノ酸配列の一定した定常部(constant region;C部)とアミノ酸配列の一定しない可変部(variable region;V部)がある.H鎖,L鎖のV部が作る空間に抗原がはまり込む形で抗原-抗体(Ig)結合が生じる.Igの抗体としての多様性は,アミノ酸配列がランダムに変わり,それに応じて種々の空間を作ってさまざまな抗原に対応できるようにするこのV部の構造の変化にある.イディオタイプはこのV部が作る抗原性をいう.
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