トピックス
骨髄ドナーバンク
服部 絢一
1
1赤十字血液センター
pp.261
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900079
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骨髄移植の実施に際しては,骨髄ドナーとして組織適合抗原(HLA)の合致する同胞や近親者がいることが大前提であるが,現在の核家族化の進む中で,日本の子供の数は平均1.7人に落ち込み,患者同胞らから移植適応者が見つけられる率もたかだか約30%という低率である.現在,骨髄移植によって,重症再生不良性貧血(重症とはどんな治療法にも抵抗して数か月で死亡するもの)は70〜80%,白血病や悪性リンパ腫などは50〜60%の患者を治すことができるのに,これら患者の約70%の人はその恩恵に浴しないまま死んでいくわけである.これを救済する意味で,非血縁者からドナーを選ぶためにバンク設立の声が上がっている.
日本で非血縁者からHLA適合者が出る割合は1万人から約40%,10万人から76%と計算されている.10〜20万人という大多数のドナープールを作るには,一地区のボランティア団体や病院,研究機関では不可能であるから,全国ネットを作らなければ効果は出ない.現在,名古屋,東京,広島,福岡,札幌などで患者家族を中心にボランティアによる骨髄バンクの活動が始められているが,これだけで効果的な数に達するとは考えられない.
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