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1.日本骨髄バンク
骨髄移植は,白血病など主に血液疾患の患者の根本的治療法として確立されてきた.骨髄を提供できるのは,HLA (ヒト白血球抗原)型の合った人である.HLA型が合う確率は,兄弟間で1/4であるが,非血縁者間で骨髄移植のために必要なHLA型が合うことは非常にまれである.そのため,HLA型の合った血縁者のいない患者のために,骨髄提供の意思を持ったボランティアのHLA型を検査してドナーとして登録し,その中から患者とHLA型の合ったドナーを探すことを目的とした骨髄バンクが求められた.アメリカで全米骨髄バンクが1987年に作られて以来,世界各国で作られ,日本では,1989年に民間の東海骨髄バンクが作られ,次いで1992年には国の主導による公的骨髄バンクがスタートした.
日本の骨髄バンクにドナーとして登録できる条件は,20歳以上50歳までの健康で,体重が男性45kg以上,女性40kg以上と,家族の理解が得られることである.ドナーの登録は全国の赤十字血液センターに置かれた骨髄データセンターと,指定された保健所で受け付けられ,HLA検査は血液センターで行われている.患者は主治医を通じて骨髄移植推進財団に登録する.中央骨髄データセンターは全国のドナーのHLAデータなど検索に必要なデータを統合し,骨髄移植推進財団の依頼によりHLA型一致のドナー検索を行っている.患者とHLA型が一致したドナーは,コーディネーターにより骨髄提供の意思を確認後,健康診断とHLA型適合の高次検査を受け,骨髄提供へと進む.ドナーの登録数はマスコミなど広報に影響される部分が多い.発足以来の月別,累計および有効登録者数をグラフにして図1に示した.1997年の4月末で,累計約90,600人のドナーと約5,100人の患者が登録され,開設の1年後から始まった骨髄移植は,1,107例が行われた.これは,登録された患者の4.6人に1人が移植を受け,ドナーの約82人に1人が提供したことになる.
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