臨床検査のピットフォール
造血幹細胞移植検査—フローサイトメトリーにおけるCD34測定の注意点
澤田 朝寛
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院臨床検査医学科
pp.1362-1366
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208856
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はじめに
造血幹細胞移植において造血幹細胞を正しく評価することは,とても重要です.末梢血幹細胞採取では,造血幹細胞の指標であるCD34陽性細胞数(CD34+)が患者体重1kg当たり2.0×106個以上含まれていれば移植細胞が生着するとされていて,日本骨髄バンクでも採取目標数に設定されています1).目標数に届かない場合は翌日も採取が必要となるため,CD34+測定は,患者やドナーにとって非常に重要であることは周知の事実です.
しかし,CD34+は少数しか存在しないため,その測定は困難が伴います.CD34+を高精度に検出する方法としてフローサイトメトリーで評価することが一般的です.造血幹細胞移植の成否を握る重要なCD34+測定の標準化を目的として「フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-A V2.0)」2)が作成されています.しかし,ガイドラインがあるにもかかわらず測定法や解析法によってCD34+が異なることが報告されています3).本稿では,CD34+を評価するときの注意点について解説します.
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