過去問deセルフチェック!
解答と解説
pp.1267
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208830
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- 文献概要
糖尿病への対策がわが国の医療における重要な課題の1つになっていることは言うまでもありません.糖尿病の診療において検査が果たす役割は大きいですが,特に重要なのは,血糖(ブドウ糖)とヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c:HbA1c)です.血糖は文字通り,検査した時点での血中ブドウ糖濃度です.一方,HbA1cは全ヘモグロビンに占める糖化ヘモグロビンの割合(%)です.糖化ヘモグロビンは,ヘモグロビンとブドウ糖が非酵素的に結合したもので,血糖値の程度と期間に依存して増加します.HbA1cはこの糖化ヘモグロビンが全ヘモグロビンに占める割合をパーセント(%)で表したものです.いったん糖化したヘモグロビンは,赤血球の寿命(120日)が尽きるまで元には戻りませんので,HbA1cは過去1〜2カ月の血糖値の平均を反映します.
糖尿病の検査を行い,①早朝空腹時血糖値126mg/dL以上,②75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上,③随時血糖値200mg/dL以上,④HbA1c 6.5%以上のうち,①〜③のいずれかと④が確認できれば,糖尿病と診断されます.①〜④のいずれか1つだけを認めた場合は“糖尿病型”と診断されます.別の日に再検査を行い,再び“糖尿病型”となれば糖尿病と診断されます.ただし,HbA1cのみのデータで糖尿病の診断を下すことはできません.詳細は,日本糖尿病学会の糖尿病診断基準をご参照ください.なお,糖化アルブミンであるグリコアルブミンは糖尿病の診断には使われません.問題1,2では,この糖尿病診断における検査の基本が問われています.
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