過去問deセルフチェック!
解答と解説
pp.511
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206469
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輸血用血液の保管法や輸血による副作用の原因と対策は,安全かつ適正な輸血のために,血液を管理する検査技師がしっかり覚えて,医師や看護師などの医療従事者を指導する必要がある.
濃厚血小板の保管は,室温(20〜24℃)で振盪保存することで,バック内のpH低下を防いで血小板の活性を維持している.輸血後感染症を少なくするために,新鮮凍結血漿は,最低6カ月間は血液センターに貯留保管され,分離した赤血球液で輸血後感染症の発症報告がなかったことが確認されたのちに各医療機関に出荷されている.融解した新鮮凍結血漿は,凝固因子が低下するため3時間以内に使用する.抗凝固剤にアデニン入りのCPDA-1(citrate-phosphate-dextrose with adenine-1)を用いると,血液の冷蔵保存期間は35日間に延長されるので,自己血などで利用されている.輸血を受けた患者は,製剤中の白血球上のHLA(human leukocyte antigen)抗原や血小板上のHPA(human platelet antigen)抗原に感作されて抗体を産生,血小板不応や発熱などの副作用を起こす.また,免疫能の低下したHLA抗原型が近い患者では,輸血されたドナーのリンパ球が排除できず,このリンパ球が増殖してGVHD(graft versus host disease)を起こす.さらに,白血球から遊離するサイトカインは,輸血を受けた患者に発熱などの副作用を起こす.
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