増大号 希少例と特殊像がわかる! エコーの撮り方完全マスター
Ⅴ章 血管〈頸動脈・腎血管〉
小谷 敦志
1
,
出村 豊
2
1近畿大学医学部奈良病院臨床検査部
2国立循環器病研究センター臨床検査部
pp.1001-1026
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208787
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頸動脈❶ 総頸動脈解離
総頸動脈解離の原因には,外傷や特発性に発症する頸動脈原発性解離があるが,そのほとんどが急性発症する大動脈解離による波及である.中でも上行大動脈に解離腔を有するStanford A型解離により右総頸動脈に発症する場合が多く,malperfusion(分枝灌流障害)となり死亡に至るケースが多い1).ただし,波及の程度が大きい場合では両側総頸動脈解離となる場合がある.急性大動脈解離は激しい胸背部痛を伴うが,胸痛のみられない例が約10%存在する2).さらに,脳神経症状を呈する例は20%程度あり3),両方が合わさった場合では,最初に脳塞栓などの脳神経疾患が疑われることとなる.急性脳梗塞の内科的治療として組織型プラスミノゲンアクチベーター(tissue-type plasminogen activator:t-PA)静注療法があるが,急性大動脈解離ではt-PA静注療法は禁忌であるため診断には注意が必要である.
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