連載 帰ってきた やなさん。・17
やなさん。久々の休暇(後編)
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学病院臨床検査科ゲノム検査室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.162
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208267
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パワースポット(←店長いわく)に位置するお店で購入したアイテムを手に,柳田は車を走らせた.その矢先,一気に晴れてきた! さっきまで暴風で,波も大荒れだったのに! そして,それ以降どんどん天気は回復し,翌朝は快晴となり,波は超穏やかになった.
「こんなに条件のいい海は久々ですよ!」と,シュノーケリングのガイドさん.さらに,昨日までの大荒れの影響で浜辺にはわれわれのみ.ラッキーすぎる.この季節,海水は冷たいので全身ウエットスーツ! と着込んだわりに,天気のおかげで水温はヌクヌク.最適温度だ.フィンを装着し,沖へ向かう.水中に潜ると,空からの光が水を伝い,キビナゴの集団がキラキラ光って泳ぎ回っている.そんななか,ガイドさんがいきなり海の底を目指して一直線に素潜り.すごっ! キラキラした笑顔で何かを拾ってきた…….「これ,何かわかりますか?」ナマコだろ.知ってるわ…….「屋久島はウミガメの上陸が日本で一番多い島.しかし産卵によるウミガメの上陸,子ガメのふ化の時期からずれているから,海にいるのはわれわれだけなんだろうか……」と,目の前のどす黒いナマコを見つめながら柳田は大きな不安に襲われていた(ナマコよ,君に会えたこともうれしいのだよ……うん).
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