書評
臨床研究の教科書—研究デザインとデータ処理のポイント 第2版
曽根 博仁
1
1新潟大大学院・血液・内分泌・代謝内科
pp.1253
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208182
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初心者を即戦力にするのに必要な「疫学・統計学的センス」が短期間に身につく
そのものずばりの書名とおりの本である.多くの類書に目を通すが,その中でも本書は,臨床研究をやりたいと教室の門戸を叩いてくれた若い皆さん(臨床医,メディカルスタッフ,非医療系大学新卒生などさまざま)に薦める最初の数冊のうちの一冊となっている.
当教室にはすでに,多くのタイプやサイズの大規模臨床データベースが存在し,著者の川村孝先生も本書内で同様のことを述べられているように,「世界の臨床現場に役立つエビデンスを自ら創る」という方針の下に,院生は修士・博士にかかわらず,すぐに研究最前線に投入され,先輩院生やスタッフと同じように独立したテーマで,先行研究調査→解析計画立案→データ解析→学会発表→論文作成に取りかかることが求められる.しかし,多くの臨床教室と同様,指導に当たる先輩院生やスタッフも,基礎から手取り足取り教えている時間的余裕は少ない.そのような状況で,初心者を即戦力にする(少なくともわれわれとある程度ディスカッションできるようにする)のに必要な,(川村先生も本書内でおっしゃる)「疫学・統計学的センス」を短期間に身に付けてもらうのに最適の書である.
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