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現在,造血器腫瘍の診断におけるWHO(World Health Organization)分類(改訂第4版のWHO分類2017が最新)の重要性が認識されています.このWHO分類は,ヒト造血組織・リンパ組織に発生する全ての腫瘍は遺伝子変異に基づくことを理念としており,細胞起源を同定するための先端的検査情報が駆使されますが,遺伝子検査は,細胞表面マーカー検査などとともに,その中心です.遺伝子変異に基づく疾患単位として確立し,そのようにWHO分類でも明確にされたいくつかの造血器腫瘍に対しては,分子標的療法が劇的といってよいほどの治療効果を示します.PML-RARA融合遺伝子を有する急性前骨髄球性白血病に対する全トランスレチノイン酸(all-trans-retinoic acid:ATRA),BCR-ABL1融合遺伝子を有する慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)に対するイマチニブなどがその代表であり,WHO分類の根底にある遺伝子異常に基づく分類の妥当性を示すものと考えられます.
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)においては,ABL1チロシンキナーゼが恒常的に活性化されるCMLに加え,サイトカインシグナル伝達を担うチロシンキナーゼJAK2の点突然変異(JAK2 V617F)が真性赤血球増加症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症に高率に認められることが明らかとなりました.このJAK2変異に関しては,国家試験にもよく出ています.本態性血小板血症や原発性骨髄線維症においては本変異が検出されるのは約半数の症例であり,残りに関しては,ごく一部の症例に関してはトロンボポエチン受容体遺伝子(MPL)の活性化変異が認められるものの,大部分は不明でしたが,その後,カルレティキュリンをコードするCALRのエクソン9変異が本態性血小板血症と原発性骨髄線維症において認められることが明らかとなりました.この領域の研究はまさに日進月歩ですが,この知見も,いずれは国家試験に登場すると思われます.
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