#総合診療
#書評:—内科医に役立つ!—誰も教えてくれなかった尿検査のアドバンス活用術
清田 雅智
1
1飯塚病院総合診療科
pp.610
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202613
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今日、ほとんどの大病院では中央検査室が標準的に整備され、医師自ら検体検査を行うことはほぼ皆無になっている。検体検査のなかでは「採血」を行うことが主流で、多くの疾患は血液検査から分析され診断されていくことが多い。「検尿」という地味な検査は、腎臓内科医や泌尿器科医を除くとこだわりをもってオーダーすることは少ないのではないか。しかし採血と異なり、尿検査の侵襲は少ないメリットがあり、深く診ていくと意外な気づきもあり、今日でも有用な武器であることには違いない。
内科医として日常臨床でよく使用するのは、「第9章 尿路感染の起因菌は何か?」における尿中白血球と亜硝酸塩、pHの判断であろう。腎臓の大家Burton D. Roseも他書にて尿のpHの尿路感染での重要性を指摘しているが、きちんとした解釈がここに書かれている。また、「第17章 低ナトリウム血症をみたら尿をみろ」というのは確かにそのとおりで、ナトリウムに加えて尿酸を解釈することが重要であり、これを血液検査だけで診断するというのはありえない話だろう。低ナトリウムの解釈は、学生時代にはあまり教わらず研修医になり臨床現場で学ぶものの1つであり、ここに書かれている内容を読めば、マニュアルの背景がわかることだろう。同様に「第18章 低カリウム血症をみたら尿をみろ」も重要で、低カリウム血症の解釈では尿中Kの排泄を評価するために、K/Cr、TTKG、FEKなどの難解な解釈をHalperinの文献も用いて明確に論じている。
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