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糞便中のcalprotectinによるIBD患者の評価
仲瀬 裕志
1
1札幌医科大学医学部消化器内科学講座
pp.1314-1317
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207421
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はじめに
近年,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)患者は増加し,その治療目標も変わりつつある.以前は症状のコントロールのみに焦点が置かれていたが,現在では内視鏡的粘膜治癒,さらには組織学的粘膜治癒を目指すようになってきている.その理由は,これらの治癒が,入院率および手術率の低下に結びつくという報告が数多く存在するからである1,2).このような治癒目標ができたいま,簡便に腸管粘膜炎症を評価できる糞便中のcalprotectinの定量が注目されている.
わが国でも①カルプロテクチン モチダ(三洋化成工業社,持田製薬社),②エリア カルプロテクチン2(サーモフィッシャーダイアグノスティックス社)が慢性的なIBD〔潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)やクローン病(Crohn's disease:CD)など〕が疑われる患者の内視鏡実施の決定,ならびにUCの患者のモニタリングなどで使用されている.
本稿では,calprotectinの①生体内での役割,②実臨床での診断基準,③これまでの報告について概説する.
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