連載 生理検査のアーチファクト・12
—脳波検査②—筋電図による脳波のアーチファクト
石郷 景子
1
1大垣市民病院医療技術部診療検査科生理機能検査室
pp.144-147
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207063
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こんなアーチファクトを知っていますか?
図1の□で囲んだ波形,図2の全体,特に前頭部・側頭部にみられる波形はなんでしょうか? 図1は71歳の女性の脳波で,□で囲んだ波形は唾液を飲み込んだときの筋電図である.飲み込みの具合によって振幅や持続時間が変わってくる.左は軽く飲み込み,右は強く長く飲み込んだときの筋電図である.図2は16歳の女性の脳波で,全体に筋電図が混入しているが,特に前頭部は目を強く閉じたことによる混入,側頭部は歯を嚙みしめたことによる混入である.同じ筋電図でも被検者の状態によって異なって出現する.
初心者にとって区別しにくいアーチファクトは,交流の混入である.図3は在胎週数34週4日の男児の脳波である.新生児の集中治療室で保育器に入っており,周囲には人工呼吸器やシリンジ点滴が5本ほどついているなかでの記録で,周辺機器の交流が混入している.ACフィルターをかけてもまだ交流の混入がある.ACフィルターをかけた状態のみを見た場合,振幅も低く筋電図と区別できない場合が多々ある.そういう場合はペーパー速度を変えてみると鑑別は容易である.筋電図では不規則な周波数の連続であり,交流混入は規則正しい正弦波形(sine wave)を示す1)(図4).
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