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自己抗体は,自身が保有する抗原と反応して,自己免疫疾患と関連が深く,診断上有用である.また,臓器特異的な自己免疫疾患もある.橋本病や慢性甲状腺炎では,抗サイログロブリン抗体,抗ミクロゾーム抗体が検出される.悪性貧血の原因である抗内因子抗体は,胃粘膜から分泌される内因子と結合してビタミンB12の小腸からの吸収を阻害する.臓器非特異的な自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)では抗Sm抗体,抗DNA抗体,多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis:PM/dermatomyositis:DM)では抗Jo-1抗体,混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)では抗U1-RNP抗体を検出する.中間型のシェーグレン(Sjögren’)症候群は抗SS-A抗体,抗SS-B抗体,重症筋無力症は抗アセチルコリン受容体抗体,原発性胆汁性肝硬変は抗ミトコンドリア抗体,血管炎症候群では抗好中球細胞質抗体と関連する.抗基底膜抗体はGoodpasture症候群の診断に有用で,抗リン脂抗体は血栓症や流早産の原因となる.
関節リウマチも臓器非特異的な自己免疫疾患で,リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)や抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide:CCP)抗体などの自己抗体が診断上で有用とされる.RFはIgGまたは変性IgGのFc部分に対する自己抗体,IgM-RFが最も多く検出されるが,IgG,IgA,IgEクラスのRFもある.関節リウマチの80〜90%で陽性となるが,肝硬変,SLEなどの膠原病や健常者でも数%,特に高齢者で陽性率が高くなり,特異性は低い.
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