Laboratory Practice 〈輸血〉
ミミッキング抗体への対応
国分寺 晃
1
1広島国際大学保健医療学部医療技術学科
pp.258-263
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205869
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
輸血療法の主な目的は,血液中の赤血球などの細胞成分や凝固因子などの蛋白質成分が量的に減少,または機能的に低下したときに,その成分を補充することによって臨床症状の改善を図ることにある.患者(受血者)については,不適合輸血を防ぐため,ABO血液型の検査,Rh(D)抗原の検査,不規則抗体スクリーニング,交差適合試験などを適切に実施する必要がある1).
臨床的に意義のある不規則抗体については,日本輸血・細胞治療学会の「赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインについて」2)に不規則抗体の血液型特異性と輸血用血液の選択基準などが示されているものの,不規則抗体の判断には時として苦慮するところである.さらに,これまでの一般的な解釈とは異なったミミッキング抗体(mimicking antibodies)というものが検出・報告されており3〜7),その判断を複雑なものにしている.
本稿では,そのミミッキング抗体の特性と,対応の方法について述べる.しかし,ミミッキング抗体そのものの成因が完全に解明されているものではないため,あくまで現行の知見の範疇であることをご承知おきいただきたい.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.