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血小板第4因子(PF4)
島津 千里
1
,
鎌倉 正英
2
1帝京大学医学部附属病院中央検査部
2帝京大学医学部第一内科
pp.260-261
発行日 1989年3月1日
Published Date 1989/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205557
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血小板第4因子(platelet factor 4;PF4)は,トロンビンなどの種々の刺激による血小板の活性化に伴い,β-トロンボグロブリン(β-TG),血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor;PDGF)などとともに血小板のα顆粒(濃染顆粒)から血液中に放出される血小板特異蛋白である.分子量は約30000で,70個のアミノ酸から構成される,分子量7767のポリペプチドの四量体が,血管内皮細胞上のプロテオグリカンと結合した複合体として存在する.PF4の生理的役割は,強力にヘパリンの抗凝固活性を中和することに代表される.すなわち,血小板から放出されたPF4はヘパリンとアンチトロンビンIII(AT III)との複合体形成に際し,ヘパリンのC末端側と結合してヘパリン活性を抑制する.PF4は通常,血中に存在せず,血小板からの放出反応によって血中濃度が上昇する.したがって循環血流中のPF4の測定は,凝固亢進状態における生体内血小板活性化を直接的に反映する指標として,β-TGと併せて日常検査として広く用いられている.
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