免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
8・ホルモン
A 下垂体ホルモン
①総論
中井 義勝
1
1京都大学医学部第2内科
pp.791-794
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204600
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下垂体の構造
下垂体はトルコ鞍内に位置する重さ約0.5gの小器官で,下垂体茎によって視床下部の正中隆起につながっている.下垂体は発生学的に異なる前葉と後葉から成っている.中間葉はヒトでは胎生期を除いて明らかでない.
視床下部と前葉との間には神経繊維の連絡はなく,両者の間には下垂体門脈と呼ばれる特殊な血管系が存在する.すなわち,上下垂体動脈は正中隆起でいったん毛細血管を形成した後,下垂体門脈となり,下垂体前葉に達する.ここで再び毛細管となり,次いで静脈へ移行する.この血管系を介して,後に述べる下垂体ホルモン放出促進因子および放出抑制因子が下垂体前葉へ運ばれ,下垂体前葉ホルモンの分泌調節に関与している.下垂体前葉細胞は通常の染色法では,色素嫌性細胞,好酸性細胞,好塩基性細胞より成っている.電子顕微鏡,あるいは免疫組織化学による研究では,個々のホルモンを分泌する細胞が同定されている.
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