コーヒーブレイク
つまらなくなった最近のカメラ
K H
pp.385
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204478
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約二十五年間趣味として写真を撮ってきたが、最近のカメラには全く絶望している。自動露光に続き、自動焦点機構を組み込んだカメラが爆発的に流行し、素人用のコンパクトカメラのみならず、かつては専門家用のカメラであった一眼レフでも、自動焦点機構を組み込んだモデルが主流になってきている。好奇心から一昨年自動焦点機構を持つ一眼レフを購入してみたが、その使い難さにわずか三か月後に売却してしまった。
考えてみると、焦点は画面の中心部で合わせるとは限らず、構図を変えるごとに焦点を合わせ直す必要が生じる。さらに撮影上もっとも繊細な部分であるシャッターを押す右人差指に、シャッターを押す以外の作業を担わせられるのが煩わしく我慢できなかった。手動焦点のカメラでも画面の周辺で合焦できるものは非常に少なく、苦労してカメラを探した思い出がある。確かに現在のカメラは機構的には著しく進歩し、それなりに便利になった。だが機能と経済性を極端に追求したため、最近のカメラはむしろ売る側の傲慢な論理が目につく。
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