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IL-3の造血作用
須田 年生
1
1自治医大血液学
pp.361-362
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204467
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インターロイキン-3(IL-3)は,Tリンパ球から産生される増殖因子で,血液細胞の増殖,分化を促進する.造血幹細胞を,IL-3の存在下に培養すると,好中球,マクロファージ,好酸球,好塩基球(肥満細胞),巨核球の出現を観察することができる.この系にエリトロポエチンを加えると,赤芽球の産生をみることもできる.このように,幹細胞の多方向への分化を可能にすることから,IL-3は,精製されるまではmulti-CSF(colony stimulating factor;コロニー刺激因子)と呼ばれていた.部分精製したIL-3をマウスに投与すると,脾では各前駆細胞が増加し,末梢血では主として好中球や好酸球が増加することが確認されている.
多方向への分化を支持することから,IL-3が生体内で各系列の血球産生を調節しているとは考えにくい.例えば出血があると,エリトロポエチンが増加し,赤血球系前駆細胞を増幅させて,赤血球数が増加する.このとき,多能性幹細胞や未分化な赤血球系前駆細胞の数は変わらず,IL-3は血球産生の調節に直接的には関与していないと考えられる.
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