マスターしよう検査技術
Western Blotting法
小出 典男
1
,
末平 滋子
2
1岡山大学医学部臨床検査医学
2岡山大学病院中央検査部
pp.353-358
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204465
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Western blottingは電気泳動的に分画した蛋白をニトロセルロース膜上に転写し,対応する特異抗体やレクチンにより転写蛋白を検出する方法である1,2).同様な方法はSouthern法(転写したDNAをプローブDNAで検出する),Northern法(転写したRNAをプローブDNAで検出する)などでも行われるが,Western blottingはこうした言い回しからすると転写した蛋白をプローブ蛋白で検出する方法ということができる.ニトロセルロース(NC)膜に転写した蛋白を検出する方法としては,ゲル内で抗原抗体反応を行う免疫固定法と類似するが,免疫固定法に比較して使用抗血清量が少なくてすみ,ゲル内での抗原の拡散が少ないなどの利点を有する方法といえる.また電気泳動の支持体としてはアガロース,アクリルアミドの種類を問わず,また電気泳動法としては通常の平板電気泳動法,スラブゲル電気泳動法,等電点電気泳動のいずれにも対応でき,さらに蛋白プローブとしては抗体,レクチンなどを用いることができる汎用性を有している.ここでは主に平板アガロースゲルとSDS-PAGEゲルを用いて,蛋白のNC膜への転写にはSouthern方式とエレクトロブロッティングによる転写法を,また蛋白プローブとNC膜との反応には,インキュベーショントレイまたはスクリーナブロッターを用いる方法を紹介する.本法の原理(図1)と一般的な手順(図2)を示しておく.
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