検査ファイル 機器
ディスク感受性検査阻止円径測定装置
山根 誠久
1
1熊本大学中央検査部
pp.1132-1133
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204269
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細菌検査室で行われる薬剤感受性検査には,寒天平板ないし液体ブイヨン希釈法での最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration;MIC)定量,1濃度あるいは3濃度ディスクを用いたディスク拡散法,液体ブイヨン培地での菌増殖を光学的に濁度でモニターする自動細菌検査装置などがある.ここで紹介するディスク感受性検査阻止円径測定装置は,もっぱら1濃度ディスク拡散法での薬剤感受性検査で用いられる判定機器である.
3濃度ディスク法での長所の一つに,判定が各濃度のディスクについて定性的であり(阻止円の有無),一目で判定できるという簡便さが挙げられる.この点,1濃度ディスク法では生じる菌発育阻止円径を定量的に測定する,という煩雑さがあり,この煩わしさをできるだけ解消しようという意図から阻止円径測定装置が開発されてきた.同時に1濃度ディスク法では,厳密に管理された検査条件下で,発育阻止円径がMIC値と高い相関をもつため,あらかじめ設定された回帰式よりMIC近似値が得られる(MIC近似値=10(a-D)/b,D:発育阻止円直径〔mm〕,a・bは回帰式の係数).機器本体そのものは,阻止円径を測定する一種のノギスであり,本機器を特徴づける機能はむしろいかにしてMIC近似値を簡単に得るか,という点にある.MIC近似値の計算を機器本体で行うもの,あるいは接続するコンピューターで行わせる方法などあるが,いずれもこの種の機器は,コンピューターへのデータ転送を可能にするRS 232 C準拠のインタフェイスを標準装備している.現在のところ二つの機種が市販され,検査室で利用されている.
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