臨床生理検査と技術 Ⅷ 血液ガス分析
血液ガス分析—装置の概略を中心として
松本 佶也
1
1東京大学医学部附属病院中央検査部
pp.636-640
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204132
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はじめに
臨床検査における血液ガス分析は,体液中の電解質代謝と酸塩基平衡の動態,心肺機能の評価,術中術後,濃厚治療室での指標などとして欠かすことのできない検査である.
血液ガス測定分析に用いられる測定原理と方法および装置には,Van Slyke法で代表されるガス気圧法と電極法,分光光度法ならびに質量分析法などがあり,種々開発・改良されてきた.これらの測定法にはそれぞれ特徴があり,検査目的に合ったパラメーターの得られる装置を選び,使用されている.最近,電子工学,精密機械工学などの利用によって,装置の機構や性能も長足の進歩を遂げるとともに,血液ガスの連続計測のための血管内電極の実用化と経皮電極も普及しつつある.特に,装置にコンピューターを組み込み,測定分析工程と校正,演算などをすべて自動的に行えるようプログラムされた装置も一般化し,測定精度の向上や検査処理の迅速簡便化も図られている.しかし,これらの装置の測定操作全般にわたる技術面と,血液ガス測定の理論を正しく十分理解し,把握する必要がある.一般に,どの測定法も独自の測定原理から出発し,得られる数値に誤差も加算されるほかに,算出の基礎となる仮定が満足されない場合もある.さらに測定誤差の原因も種々あり,慎重な測定操作が望まれる.装置の保守点検,日常の整備はもちろん,操作についても習熟しておかなくてはならない.
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