臨床生理検査と技術 Ⅱ 心音図検査
[1]心音図検査の記録法
島田 英世
1
,
斉藤 嘉鶴
2
1北里研究所病院内科
2北里研究所病院研究検査科
pp.442-445
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204073
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心音図法は,循環器疾患に対するもっとも基本的な検査法の一つであるが,近年,心エコー図法の普及により,ともすれば軽視されがちであり,影の薄い存在となってしまったような印象を受ける.しかし,聴診という,医療のもっとも基礎となる診断手技を客観化したものと考えられる心音図法は,決して軽視すべきものではなく,その重要性は,どのような時代となっても,いささかも変わるものではないように考える.
心エコー図法が視覚に訴え,心内現象の解剖学的・生理学的変化を観察する手技であるのに対し,心音図法は聴覚に訴える所見を記録しようとする検査法であり,それだけに,繊細な変化も表現しうる可能性があるといえそうである.それはたとえてみれば,心エコー図法がテレビ時代を象徴するものだとすれば,心音図法は,この時代にあってもその独自性を発揮しているラジオに相当するものであろうか.
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